Harrington Holdem Q1.

$10/$20 Pot:$30

A: $2,740
B: $2,560
C: $2,260
YOU: $2,560
E: $2,380
F: $2,420
@G: $2,600
SB: $2,600
BB: $2,380

状況: まだ数ハンドしかプレイされていないオンラインMTT。プレイヤーA,Bはルース、GとBBはタイトなようだ。
ハンド: T♦8♣
アクション: A,B,Cがフォールド。


Q1-1: 以上をふまえ、あなたのアクションとその理由は?
A. ハンドは弱い上に後ろに5人も控えている。フォールド。
B. ルースなプレイヤーA,Bはフォールドし、残るはタイトなプレイヤーのみなのでレイズ$60。
C. ルースなプレイヤーA,Bはフォールドし、残るはタイトなプレイヤーのみだが、他のプレイヤーのフォールドが望ましいのでレイズ$120。
D. コール。スタックのわずか1%でフロップが見れる上、大きな手に発展すれば誰かのチップをまるまる頂けるかもしれない。


アクション: あなたはフォールド。Fが$60にレイズ、他のプレイヤーはフォールド。Fがポットを勝ち取った。


A1.
A: 3点
B: 2点
C: 0点
D: 0点


■解説■

A. ハンドは弱い上に後ろに5人も控えている。フォールド。

プリフロップ戦術について調べたことのあるプレイヤーならば、4thポジションからプレイに参加できるハンドの範囲はかなり限られることはもう知っているだろう。具体的には、66+、A8s+、ATo+、QJs+、KQo+が望ましい。
しかし多くのプレイヤー、特にオンラインでは、自分のテーブルイメージを読みにくくするためにこういった中庸な手で参加することもある。

B. ルースなプレイヤーA,Bはフォールドし、残るはタイトなプレイヤーのみなのでレイズ$60。

他のプレイヤーを観察することはとても重要ではあるけども、まだトーナメントに入って数ハンドしかプレイしていないということも頭の片隅に置いておいて欲しい。「ルース」と評したプレイヤーはただ単に良いハンドが連続して入ってきただけかもしれないし、「タイト」としたプレイヤーはテーブルに慣れるために時間を使うタイプのプレイヤーかもしれない。「ルース」「タイト」の判断は間違っている可能性が多分にあるのだ。以前から特定のプレイヤーについて情報を持っているというわけでもない限り、トーナメント序盤はハンドに素直にプレイしながら彼らのベットパターンや癖を観察するのが賢いと言えるだろう。

アグレッシブなプレイヤーならこのハンドでレイズすることも考えられる。アグレッシブなプレイヤーはトーナメント序盤から積極的にプレイに参加し、参加するのにプレミアムハンドを必要としない。彼らはフロップ後に危険を察知する能力と相手を下ろす技術に長けている。

では適正なレイズ額はいくらだろうか?当然、T♦8♣で大きなレイズをすることは正しくないだろう。BBの2.5-3倍のレイズが妥当だろう。Gavin SmithやChris Fergusonはこのような小さなレイズを、多額のチップを投資せずに相手にコンスタントにプレッシャーを掛け続ける有効な方法としている。

C. ルースなプレイヤーA,Bはフォールドし、残るはタイトなプレイヤーのみだが、他のプレイヤーのフォールドが望ましいのでレイズ$120。

後ろのプレイヤーが何も持っていないなら、$60のレイズでもポットを勝ち取るのには十分なはず。仮に良いハンドを持たれていてリレイズされた場合、$60余計に損したことになる。

D. コール。スタックのわずか1%でフロップが見れる上、大きな手に発展すれば誰かのチップをまるまる頂けるかもしれない。

T♦8♣のようなハンドでもフロップを安く見れるならばプレイに参加するべきだが、後ろには5人も控えている。レイズされたらその時点でこの手は捨てなければならない。このハンドでリンプインできるのはほぼ全員のアクションを見てから行動できるSBかBBくらいだと私は考える。

また、「スタックのわずか1%でフロップが見れる」とは言うものの、このハンドをプレイするとなるとスタックの1%では済まないことがほとんどだ。例を挙げるならば、

あなたは$20をコール。Eはフォールド。Fがレイズ$60。ボタン、SB、BBは$60をコール。Potは$260で、コールには$40かかる。6.5:1のポットオッズを考慮すれば、コールが正しいだろう。が、これでスタックの3%を投資したことになるし、フロップ以降の行動順は5人中3番目で決していいポジションとは言えない。

あなたは$20をコール。ボタン、SB、BBもコール。フロップはKJ8。確かにフロップはヒットしたが、これは果たしてプレイできるハンドだろうか?SBがチェック、BBがレイズをかけたとしよう。コールできるだろうか?否だろう。

あなたは$20をコール。ボタン、SB、BBもコール。フロップはAT2。SBとBBはチェック。あなたは$60をベットしたところ、ボタンがレイズ$200。コールできるだろうか?とても難しい状況に陥ったことがわかる。

中程度の強さの手でプレイに参加する場合、好ましくない方向にゲームが進行するパターンはたくさんある。本当の危険はフロップがスカることではなく、ミドルペアかボトムペアが出来てしまうか、またはドロー系のハンドが望めてしまうことにある。相手と比較して自分がどういった立場にあるか判断することがとても困難になるのだ。相手がベットした場合、中程度の強さのハンドしか持っていないにもかかわらず、フォールドするか、チップをさらに追加投資するかの判断をしなければならない。このゲームがNo Limitの名前を持つ理由がわかるだろうか?


総合すると、この状況下でT♦8♣を持った場合、プリフロップではフラットコールよりもレイズの方が期待値的に勝る
また、相手の情報を視覚的につかめる分、オンラインよりもライブゲームの方がこの類のプレイは成功させやすい。