Harrington Holdem Q4.

$25/50 Pot: $75
A: $9,500
B: $10,200
YOU(Daniel Negreanu): $7,000
D: $15,000
E: $6,000
F: $10,000
G: $12,000
@Sam Farha: $30,000
SB: $11,000
BB: $8,000

状況: 2005年WSOPの初日。ボタンのFarhaは非常にアグレッシブなプレイスタイルで、2003年WSOPで2位の実績を持つ。他のプレイヤーはそれほど強くなさそう。
ハンド: 9♥8♥
アクション: A、Bはフォールド。

Q4a. あなたのアクションは?
A. フォールド
B. コール$50
C. レイズ$150

アクション: あなたはレイズ$150。D、Eはフォールド。Fはリレイズ$400。Gはフォールド。ボタンのFarhaはコール。SB、BBはフォールド。Potは$1,025。

Q4b. あなたのアクションは?
A. フォールド
B. コール$250
C. リレイズ$1,200

アクション: あなたはコール。Potは$1,275。
フロップ: 7♠6♠5♦

Q4c. あなたのアクションは?
A. チェック
B. ベット$600
C. ベット$1,000
D. オールイン

アクション: あなたはチェック。Fはチェック。Farhaはベット$1,000。Potは$2,275。

Q4d. あなたのアクションは?
A. コール
B. レイズ$3,000
C. オールイン

アクション: あなたはコール。Fはコール。Potは$4,275。
ターン: K♥

Q4e. あなたのアクションは?
A. チェック
B. ベット$2,000
C. オールイン

アクション: あなたはベット$2,000。Fはフォールド。Farhaはコール。Potは$8,275。あなたのスタックの残りは$3,600。
リバー: 5♠

Q4f. あなたのアクションは?
A. チェック
B. ベット$2,000
C. オールイン

アクション: あなたはチェック。Farhaはオールイン。Potは$11,875。

Q4g. あなたのアクションは?
A. コール$3,600
B. フォールド

アクション: あなたはフォールド。Farhaは9♠2♠のフラッシュ。


■解説■
Farhaのように非常にアグレッシブなプレイヤーはプレイに参加する際、ハンドの強さをそれほど重要視しない。ミドルポジションからJ9oのような手からレイズで参加することもある。これは一般的には正しくはないが、アグレッシブなプレイヤーはハンドの弱さに引き換え、フロップ後のプレイや状況判断、相手の手を推測する能力でその埋め合わせができると考えるのだ。


A4a.
A: 3点 B:2点 C:3点
どれも間違いではないが、コールの場合、レイズが掛かったときにフォールドかポジションなしで弱いハンドをプレイするかの嫌な2択を迫られる。

アクション: あなたはレイズ$150。D、Eはフォールド。Fはリレイズ$400。Gはフォールド。ボタンのFarhaはコール。SB、BBはフォールド。Potは$1,025。

Farhaは9♠2♠で$400をコール。言わずもがなだが、これはかなり異常なプレイといえる。どういうことだろうか?
Farhaはポジションとチップ量とフロップ後のスキルという3つの武器を持っている。今のところ、ポットに参加しているプレイヤーと比べて大差のチップ量を持っているので、フロップに何が出ようとヒットしたようにプレイしてポットを取ってしまう算段だろう。加えて、ポジションがあるので両プレイヤーのアクションを見てからプレイが出来る。Farhaはこの有利性だけで$400の価値がある、と判断したのだ。


A4b.
A: 3点 B: 1点/3点 C: 0点
Danielは$250をコールしなければならないが、ポットオッズは4:1でかなり良い。Farhaは非常にアグレッシブなのでどんな2枚のカードも持ちうる。Fはそれなりの手を持っていそうだ。
結局のところ、手はただのミドルスーコネだし両者に対してポジションも無い。フォールドしても責める人は居ないだろう。フロップ後にDanielと同じレベルのプレイをする自信があるならコールに3点、ないならコールに1点とする。リレイズは論外。

アクション: あなたはコール。Potは$1,275。
フロップ: 7♠6♠5♦


A4c.
A: 4点 B: 0点 C: 0点
最高のフロップだ。しかもプリフロップのレイズとリレイズのコールで手はうまく隠されている。あとはいかにPotに金をつぎこませるか。
プリフロップに強さを見せた2人が後ろに控えているので、わざわざ自分からアクションを起こす必要は無い。少なくともどちらかがベットを仕掛けてくれるだろう。他の2人の視点からするとDanielが持っていそうな範囲のハンドの大半はフロップがヒットしていない。なのに積極的にベットを仕掛けてくるのは少しおかしくないか、と思われるのは避けたい。

アクション: あなたはチェック。Fはチェック。

Farhaにとってこれは朗報だ。フラッシュドローとインサイドストレートドロー、あわせてアウトが12もある。加えて、2人ともチェックしたのでオーバーペア持ちは薄くなり、相手はハイカード2枚持ちの可能性が高くなった。ここでFarhaはセミブラフを打つ。

Farhaはベット$1,000。Potは$2,275。


A4d.
A: 3点 B: 0点 C: 0点
Fはチェックしたのでオーバーペアの可能性は薄い。それならフロップ後にもベットするだろうからだ。よっておそらくAK、AQなどのハイカード2枚と推測できる。
Farhaに関してはどうだろうか?レイズ$1,000からはほとんど情報は引き出せない。ただ、ハイペアは否定できそうだ。もしそういった手がだったならプリフロップでリレイズに対してコールではなく、ヘッズアップになるよう4betしただろうからだ。低めのペアとストレートドロー、またはハイカード2枚とフラッシュドロー、あるいはただのブラフと予想するので精一杯といったところか。
総合すると、ナッツストレートを脅かすほどのハンドが誰かに入ってると考える必要はなさそうだ。よって、レイズにはまだ時期尚早とする。FがいなければFarhaに対して少額のレイズを仕掛けたいところ。が、Fはハイペアをスロープレイしていたのかもしれないし、そのケースだと今リレイズをしてくれるかもしれない。今重要なのは、いかに自然に2人を下ろさずに自分のスタックを全てPotに入れるかなので、警戒されるようなアクションは少しでも避けたい。Fが代わりにレイズをしてくれればまだまだ手を偽装したままプレイを進められるのだ。

アクション: あなたはコール。Fはコール。Potは$4,275。
ターン: K♥


A4e.
A: 0点 B: 4点 C: 0点
このK♥は理想的。Farhaがドローハンドだった場合、ドローは完成されなかったし、AK持ちがいた場合、Kのペアができたことになる。コールしてくれそうなハンドが増えたのに引き換え、こちらのハンドの脅威にはなっていないのだ。

そろそろ大きなPotを作り始める頃合いだろう。フロップでのコールでベットに屈しないことを示してしまったので、これ以降他の2人が先にベットを仕掛けてくれるのを期待するのは少し楽観的すぎるだろう。自分のスタックは$5,600なので、ターンとリバーの2回に分けてベットをすれば良いポットオッズを提供しながら自然なベットが出来る。Potの1.25倍のスタックなのでオールイン1回で済ませてしまうのもありだが、相手がフォールドしてしまうかもしれないことも考えてここは成功率の高そうな2回に分けた方がよさそうだ。フラッシュドローを引かせないことに頭が回ってしまうのは少し考えすぎだ。まず相手はフラッシュドローではない可能性のほうがはるかに大きい。

アクション: あなたはベット$2,000。Fはフォールド(A♣J♦)。

Farhaの視点からすると、$6,275のPotに対して$2,000でコールできることになる。ポットオッズは3.1:1。、Danielのベット額はドロー系を警戒する様子はないので、ドローが完成した場合はおそらく勝てるだろう。アウトは12枚なので理論上、ポットオッズが2.8:1を上回らなければコールはできないが、Danielがポットコミットしたことによって潜在的ポットオッズはそれを上回る。よってFarhaはコール。

Farhaはコール。Potは$8,275。あなたのスタックの残りは$3,600。
リバー: 5♠


A4f.
A: 4点 B: 0点 C: 2点
Potは$8,275で、スタックは$3,600しか残ってないが、リバーには最悪のカードが落ちた。Farhaがフラッシュドローだったなら今ヒットしたし、75sや65s持ちのツーペアは今フルハウスに発展してしまったからだ。
が、当然ストレートは悪い手ではない。ではベットすべきだろうか?リバーでベットを行うときは以下の4点を考慮してから判断すべきだ。

  • ベストハンドを持っていることを確信できるか? ターンまでは確信していたが、リバーではそうではなくなった。
  • ベットした場合、より強いハンドをフォールドさせられるだろうか? できないだろう。フラッシュとフルハウスは間違いなくコールする。
  • ベットした場合、より弱いハンドはコールするだろうか? コールするかもしれない。セットやツーペアが出来ていたとすると、それなりの確率でコールはありうる。しかし、よくよく考えるとFarhaがそのような手を持っていることはほぼありえないことに気づく。例えば持ちうるセットについて考えてみると、K、7、6のセットはフルハウスになってしまったので除外されて5のセットしか残らない。A5や54でプリフロップのアクションは妥当だろうか?同様にツーペアについて考えてみると、K7K6、76しか残らない。いずれにしても妥当とはいえない。(実際はそれよりもひどい9♠2♠でコールしたが) セットかツーペアですらないならば、アクションに合致しそうなのはAKくらいだろうか?しかしAハイでオールインにコールするだろうか?
  • チェックした場合、相手はブラフを仕掛けるだろうか? Farhaは現在ビッグスタックであることと、プレイスタイルからして否定は出来ない。

結論すると、オールインよりはチェックに軍配があがる。選択肢Bのベット$2,000は最悪だ。ベット$2,000にコールするようなハンドはほとんどの場合あなたの残りのチップを狙ったリレイズで返すし、リレイズされたところでいまさらフォールドは出来ない。プレイした時点でどのみちチップがすべてPotに流れる=ポットコミットされるのだ。

アクション: あなたはチェック。Farhaはオールイン。Potは$11,875。


A4g.
A: 5点 B: 3点

コールするか否か。判断材料を挙げてみると、

  • ポットオッズ。 現状3.3:1。別の言い方をすれば23%以上の確率で勝てればコールに値する。
  • ハンドの強さ。 最強のストレートを持っているが、相手はフラッシュやフルハウスでもまったくおかしくない。
  • 相手。 相手はブラフを多用するしやプレイにバリエーションがある。
  • トーナメントでの順位。 まだブラインドの安いトーナメント初日なので、フォールドしても$3,600(=48M)残りまだしばらくプレイできる。当然このPotを勝ち取って$15,000のスタックにしたほうがはるかに有利に大会を進められるのだが…


我々人間は泣きながらコールするしかないだろう。
Danielは実際にはフォールド(!!!)した。FarhaはDanielの9♥8♥を見て腰を抜かしたのはいうまでも無い。